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シンポジウム1:小児・AYA世代の痛み治療
- 「痛み」は、いつの時代になっても、どの年代においても世界的に重要な医療上の問題であります。ひと言に「痛み」と言ってもその性質、パターン、原因などにより対処方法が異なるため、その評価が重要になります。そして、複雑化した「痛み」への対応は身体的、心理的、薬物的介入といった多方面からのアプローチが必要になります。
このシンポジウムでは「小児・AYA世代の痛み治療」というタイトルで、余谷暢之先生には小児緩和専門の立場から小児の痛みの評価と介入方法について、金井昭文先生には疼痛治療専門の立場から神経ブロックによるインターベンション治療の症例を紹介していただきます。枷場先生には臨床心理士という立場から、Young Adults世代の痛みに対する心理的アプローチについてお話いただきます。
発達途中である小児と社会的問題に直面するAYA世代、彼らの痛みにどのように対応していけばよいのか、このシンポジウムで考えたいと思います。
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シンポジウム2:がん疼痛治療の成功率を高めるためのひと工夫~患者の痛みは本当に取れているのか~
- わが国における緩和医療の普及には目をみはるものがあります。多くの患者さんが緩和ケアの恩恵にあずかっている現在の状況ではありますが、緩和ケアの質としてのがん性疼痛の制御は必ずしも十分とは言えません。
このことは、わが国だけの問題ではなく、スタンダードな緩和ケアを実施しても十分な除痛を図ることができないがん患者は全体の20-30%にものぼるという海外の調査もあるようです。
このシンポジウムでは、緩和医療の中で、特に痛みの治療に注力している先生方を演者としてお招きし、診断学、評価法、オピオイド併用療法、さらには慢性疼痛治療法などがん性疼痛の診断から治療まで、さまざまな視点から情報を共有いただきます。
みなさんの施設におけるがん疼痛治療の質を改善するよい機会になれば幸いです。
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シンポジウム3:がんの痛みに対する神経ブロック治療
- シンポジウム3においては、がんの痛み診療における神経ブロック位置づけを含めて神経ブロック治療全般についてご講演いただきます。
残念ながら緩和領域での神経ブロックの施行数は減少傾向にあり、薬物療法が発達していく一方で、神経ブロックは一般的でなくなっていく危機感があります。そのため、神経ブロックをあまり知らない医師・看護師やスタッフを対象に、難治性疼痛に対して有用な手技である神経ブロックがもっと理解されるように企画されました。
仙台ペインクリニック 伊達久先生には透視下や高周波熱凝固によるブロック、佐賀県医療センター好生館 小杉寿文先生にはくも膜下鎮痛法、群馬県立がんセンター 肥塚史郎先生にはCTガイド下神経叢ブロック 、兵庫医科大学病院ペインクリニック部 棚田大輔先生には透視下・内視鏡下腹腔神経叢ブロックを中心に、それぞれのブロックの手技や適応、今後の展望につき、最新の知見を踏まえてご発表いただきます。
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シンポジウム4:がん疼痛の診断・評価における私の工夫
- 痛みは患者さんによって入力や修飾因子は異なるが、“表出の部分”の把握は痛み治療の第一歩である。ガイドライン、成書、鎮痛薬の選択肢は充実し、画像技術は向上した一方で、十分な診察もせず安易な薬剤選択や増量を行うなど、きちんとした痛みの評価と治療がなされていない場面も多い。基本に立ち戻り、あらためてがん疼痛の“表出の部分”を手掛かりに痛みの原因の推定と病態に応じた治療計画を立てる力が問われている。
今回の企画は,それぞれの分野のエキスパートの先生方にがん疼痛の診断と評価において、どのような点に重点を置き診察をし、疼痛治療のストラテジーを立てているのか、問診、診察、画像、ドラッグチャレンジテスト、コーピングストラテジーなどの側面を視野にご発表いただく。ガイドライン的な画一的な内容ではなく発表者が普段から工夫されている点につきディスカッションで深めたい。
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シンポジウム5:がん疼痛治療におけるモルヒネ製剤の位置付け~今、あなたは使いますか?~ Pros & Cons
- 1989年日本で最初の徐放性オピオイド製剤であるモルヒネ硫酸塩水和物の発売以来、32年が経過しました。その間オキシコドン、フェンタニル、ヒドロモルフォン、トラマドール、タペンタドール、メサドンが相次いで発売され、がん疼痛治療におけるオピオイド鎮痛薬の選択肢は著しく増加しました。その時代の変化の中で、これまで長く我が国においてがん疼痛治療の主役であったモルヒネ製剤を処方する場面は徐々に減少し、その優先度はそれぞれの医療者の知見や患者状況によって異なります。
今回、がん疼痛治療へのモルヒネ製剤使用についてエキスパートが敢えて「有用派」vs「無用派」に役を分け、ディベートする場を持つことで臨床でのモルヒネ製剤の役割について再検討したいと考えました。当日はオンラインでの投票機能を用い、視聴者参加型のディスカッションも予定しています。がん疼痛治療に興味を持つ方々の、多数のご参加をお待ちしています。
※本セッションはディベート(討論)形式であるため、各演者の抄録はございません。
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シンポジウム6:がん関連倦怠感(CRF)のマネジメント
- がん関連倦怠感は頻度が高いうえに、がん治療中から終末期まで最も長く付き合わなければならない症状でもある。一方、痛みとは異なり、臨床では患者の苦痛としては過小評価され、十分に治療やケアされていない過小治療が問題となっている。現在までにステロイドなどの薬物療法、運動療法、エネルギー温存・活動療法や看護ケアなどが報告され実践されているが、他にも多彩なアプローチの可能性があると思われる。
今回は倦怠感の定量的な評価、リハビリテーション治療、漢方医学、グレリン受容体作動薬による悪液質治療といったこれまでとは異なる新たな倦怠感へのアプローチの可能性について、それぞれの専門の立場から最新の知見と実践について解説していただく。
本シンポジウムが参加者の知識の習得の機会となるだけでなく、参加者自身が倦怠感への新たなアプローチを創造するヒントとなれば幸いである。
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シンポジウム7:「緩和的化学療法」は存在するか?その定義と適応を探る
- がん治療は、近年分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が登場することによりめざましい進歩を遂げてきている。また既存の抗がん剤もその支持療法の進歩は、今まで治療適応でなかったような進行がん患者でも「治療の可能性がある」「症状緩和の可能性がある」という形での抗がん剤がすすめられる、あるいは患者が希望されるということも増えてきた。包括的がん医療では、抗がん治療から緩和医療へのシームレスな移行が推奨されているが、このようにがん治療の役割が増えてくるということで、患者がどのような緩和治療を、どのように、どの場所で受けていくかという状況も変化していくことが考えられる。
このようながん治療の進歩の中で、「緩和的化学療法」とは何か、現在どこまで進んでいて今後どうなることが考えられるか、その中での緩和医療の提供について、抗がん剤治療のエキスパートと緩和ケアに携わる医療者とともに、文献的な知識だけではない臨床現場での本音を交わしたい。
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シンポジウム8:緩和ケアにおける侵襲的治療はどこまで許容されるのか?
- 緩和ケアを要する根治困難な病状の患者に対しても、近年の技術の進歩により侵襲的処置(手術・IVR・消化管ステント)が適応となることは増えています。以前では困難だった侵襲的処置により劇的なQOL向上を経験する一方、その適応は患者一人一人の病状経過や本人と家族の意向・全身状態・医療機関としての限界など種々の要素に左右され、ケースバイケースとされることも多いように思われます。しかし、スタンダードのないケースバイケースはあり得ず、守るべき医学的適応が存在しなければ医療者としての責任放棄になりかねません。
本セッションでは緩和ケアに造詣の深い外科(手術)・放射線科(緩和的IVR)、消化管内視鏡的ステントのエキスパートに、手技の学術的背景と適応の実際について解説を頂きます。またそれとともに、根治の望めない患者・家族に対し術者として関わる上でのコミュニケーションや、医療者としての心情をもディスカッション頂き、不確定要素の大きい中でもQOLを格段に向上させる可能性がある侵襲的処置の意義とその限界について検討したいと思います。
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シンポジウム9:緩和医療における輸血療法を考える
- 人生の最終段階にある患者に対する輸血療法の位置づけであるが、厚生労働省の「血液製剤の使用指針」には、赤血球液、血小板濃厚液、新鮮凍結血漿ともに、不適切な使用として「終末期患者への投与」があげられている。その理由として「終末期患者に対しては、患者の意思を尊重しない延命措置は控えるという考え方が容認されつつある。輸血療法といえども、その例外ではなく、患者の意思を尊重しない投与は控える」と記されている。しかし、緩和医療の臨床現場では、倦怠感や呼吸困難に対して有効であることも多く、「不適切な使用」と人生の最終段階の患者への輸血を一括りにすることには問題があるように感じる。
本シンポジウムでは、緩和ケア病棟、緩和ケアチーム、がん治療医、血液内科医、在宅医療そして臨床倫理の立場から、我が国の緩和ケアの臨床現場での輸血療法の考え方についてディスカッションを行いたい。
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シンポジウム10:「急変」を科学する ~ホスピスケア中の予期しない死亡の検討~
- 「急変」ということばは、どのような事象を切り取っているのだろう。その事象について何らかの同一性を見いだせるのか、このセッションでは考えてみる。
まず「急変」についてわかっていること・いないことに関して、文献的考察を行う。その後、異なった医療現場で働く3名の医師に、「急変」についての体験を語ってもらう。事前の意見交換では、座長・シンポジスト間で共通する「急変」の定義は見いだせなかったが、それが「何かしなければと葛藤する状況」であったことは確かであった。「急変」であると判断したきっかけ、そこで生じた迷い、結局何を行ったのか、そしてその結果何が起きたのか等、様々な視点から語ってもらう。最後に、シンポジスト全員で、何をもって「急変」と判断したか、何の目的で行動を開始したか、ACP等の事前指示はその行動にどのように影響したかについてディスカッションを行う。
なお、「ホスピスケア」からイメージする状況に関しては、「終末期に近い状態での緩和ケア」という、緩やかな合意形成はなされたことを補足しておく。
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シンポジウム11:緩和医療における呼吸困難への対応
- 現在日本緩和医療学会では、「がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン2016年版」を発刊している。このガイドラインは、「Minds診療ガイドライン作成の手引2014年度版」に基づいて標準的な手法で作成しており、その成果は国際医学雑誌に発表されて高い評価を受けている。米国臨床腫瘍学会(ASCO)も呼吸困難ガイドラインを2021年に発表し、呼吸困難は関心が高いテーマになっている。
現在学会では2016年度版のガイドラインの改訂作業を進めているが、今回のシンポジウムではその作業過程で現在得られている最新の知見を各シンポジストに紹介解説していただく予定である。
オピオイド、オピオイド以外の薬物療法、新しく開発された酸素療法や非薬物療法を含む看護ケアに絞って議論して、呼吸困難の緩和に対して得られた新しい知見を、その適応を含めてどのように各々の臨床の現場に取り入れていくかを一緒に考えていきたい。
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シンポジウム12:スピリチュアルペインへの実践的なアプローチ
- スピリチュアルペインは、いのちや人間存在の根源を支える領域を脅かす痛みであり、緩和ケアに携わる者が最も難渋する課題の一つである。
スピリチュアルペインへの関わりとは、「意味」や「関係性」をキーワードに、患者が自分の存在や生きること、すなわち「いのちそのもの」に意味を与え、自己・他者・人間を超えるものとの関係性の中で自己存在を見出すことを支えるものと表現される。その基本姿勢として「寄り添う」ことの重要性が挙げられるが、「寄り添う」とはどうする(またはしない)ことなのだろうか。
このシンポジウムでは、スピリチュアルペインやスピリチュアルケアとは何か、そしてどうあるべきかといった教科書的議論ではなく、個別性の高い生々しい魂の痛みに触れながら、関わりの難しさを実感している多職種(緩和ケア医、精神科医、緩和ケア認定看護師、作業療法士、ソーシャルワーカー)の臨床家が日々の実践を発表する。
臨床現場の蓄積から生み出された実践的なアプローチを共有することにより、演者・参加者のそれぞれが抱いているスピリチュアルケアへの問いを共に探求できればと考えている。
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シンポジウム13:遺族ケアと、遺族になった後の悲嘆を軽減するための家族ケア
- 患者の死は、多くの医療者にとって治療のゴールとなるかもしれないが、家族にとっては死別の悲しみの中で生活していくことの始まりでもある。死別後の悲嘆の多くは、時間とともに軽減する「正常悲嘆」である一方、様々な精神症状・身体症状が強く持続し、これらの健康上の問題が長く生活や仕事などに深刻な影響を与えることもある。したがって、緩和ケアに携わる全ての医療者は、自身で行える適切な一般的遺族ケアの知識を持ち、専門的ケアへの紹介のタイミング等についても知っておくことが必要である。
遺族ケアは、緩和ケアの重要な1要素であるが、まだ十分には議論されておらず、質の高いエビデンスも多くはない。
本シンポジウムでは、緩和ケアの臨床現場の第1線でご活躍されるシンポジストの皆様にご自身の体験をお話いただき、その後、会場の皆様と一緒に、“遺族になった後の悲嘆を軽減するための家族ケアのために何が必要なのか?”について考えたい。
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シンポジウム14:睡眠を得るため何を工夫している?~様々な場面から~
- 睡眠は、患者さんの現在の精神状態を映し出す鏡であり、睡眠は精神疾患のバイタルサインともいわれます。そして、睡眠は、その量・質により、患者さんの生活や精神状態を大きく左右します。患者さんにとっても医療者にとっても、睡眠は、非常に大きな関心事であることは間違いありません。
がんなどの重篤な疾患に罹患した緩和ケアの提供が必要な場面では、いわゆる健康成人に推奨されるような睡眠衛生指導のすべてが適応になりにくい状況があったり、睡眠薬の選択基準に工夫が必要であったりすることと思います。特に入院病棟ではいわゆる約束指示としての不眠時指示がありますが、どのような判断で、どのような場合に使用するのが適切な使用方法なのでしょうか。
そこで、本シンポジウムでは、睡眠を得るための工夫について様々なお立場にいらっしゃる先生方からご講演をいただきます。明日からすぐに臨床に役立つ内容になるかし思いますので、何卒多くの方にご聴講いただければと思います。
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シンポジウム15:社会的苦痛へのケア~ソーシャルワーカーの視点を学び、多職種によるアプローチを考える
- 患者はたとえ生命を脅かす疾患を患ったとしても、一人の人間として社会の中で生活していくことに変わりはない。しかし、病気を患うことにより、これまでの生活の中で構築されてきた周囲との関係性が変化したり、それまでの人生において大切にしてきた活動に支障をきたしたりしてしまうことは少なくない。患者のケアに関わる者たちは、患者や家族が希望する日々の生活を、可能な限り実現していくための支援をしていくことが求められており、全人的な苦痛の軽減を図っていくための緩和ケアの実践の重要な目標でもある。
緩和ケアに携わる者は、医学的な側面からまず初めのアプローチとして症状緩和に取り組むことが多いが、その先にある生活者としての患者が希望する生活をどのように実現していけるか、という視点を常に意識しておく必要がある。患者・家族のQOLの維持向上という目的を実現するために、患者の生活を重視した社会的視点が重要であり、それを専門に取り組むソーシャルワーカーの視点から学ぶことは多い。
今回のシンポジウムでは、ソーシャルワーカー以外の職種の医療者が、ソーシャルワーカーが患者・家族・環境をどのようにアセスメントしているのかについて知り、多職種で患者・家族が抱える社会的苦痛の軽減をどのように図っていくべきかについて検討していく。
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シンポジウム16:臨床で困る「せん妄」の諸問題への対応方法を様々な立場から考え臨床に活かす
- せん妄への対応はガイドラインが作成されるなど、標準的な対応が共有されつつあるが、いまだ実際の臨床現場では、医療安全上の課題や意思決定・身体拘束・鎮静などの倫理的な葛藤、医療者の疲弊など複雑な問題に苦慮している。
今回、臨床現場でせん妄への対応で困難を感じる状況と課題について、精神腫瘍科医からはせん妄の諸々の問題をいかに整理するか、精神看護専門看護師からはせん妄の“困る”に直接ケアを行う看護師の支援について、在宅医からは悪性疾患の終末期せん妄の対応、訪問看護師の立場からせん妄を生じた療養者や家族の日常生活のケアの工夫を様々な視点で討議することを目指す。様々な立場からの意見を共有し、複雑な問題の整理と対応の根拠を探る。
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シンポジウム17:抗がん剤のやめどきをどう支えるか
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シンポジウム18:多職種を巻き込む緩和ケアチーム作り
- がん診療連携拠点病院には緩和ケアチームの設置が求められ、拠点病院を中心に全国各地で緩和ケアチームが活動しています。当学会の緩和ケアチーム登録には528チームが登録されており(2020年度)、MSWは79.7%、心理職は54.4%、リハ職は74.4%、管理栄養士は88.8%がチームメンバーに含まれていると回答されています。このように多くの施設でチームに多職種が関わっているようではありますが、その関わりの深さは様々なのが実情ではないでしょうか。
本セッションでは、実際に緩和ケアチームメンバーとして活躍されている様々な職種のシンポジストから、それぞれの職種がチーム内で果たす役割や、その職種を新しくメンバーに加えるための方略についてお話しいただきます。そして、シンポジスト全員で、多職種を巻き込んだ緩和ケアチームをどのように作り運営していくのが良いかを議論します。
実際に緩和ケアチームで働いている方や、緩和ケアチームに入りたいなと思っている方のご参加をお待ちしています。
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シンポジウム19:社会的経済的困難を抱えるがん患者をどう支えるか?
- がんの療養は、医療の進歩に伴い長期化、慢性化しており、その療養生活の経過の中で、近年は社会的経済的困難が問題として露呈することが少なくない。高齢独居や認知症、障害者世帯はもとより、身寄りなしや家庭環境が複雑な世帯など家族の多様化や、さまざまな雇用形態とそれに伴う経済問題などこれらの社会的問題が、治療や療養先の選定などの療養生活に影響を及ぼしている現状がある。多くは個人的なアプローチしづらい問題であり、解決法や正解を見つけることが難しいため、支援の限界を感じる支援者も多いであろう。
そのような社会的問題を抱えた患者・家族が、安心して適切な治療を受けるためには多職種での支援が不可欠であるが、院内・院外でどのような連携・協働ができるのか、また、各職種で考えられる介入の糸口について皆さんとともに考えたい。
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シンポジウム20:行き場のない患者を無くすために 地域緩和ケアを推進するための 作戦会議
- 現在の医療・介護保険、社会保障制度の中では、“住み慣れた地域での緩和ケア”を必要に合わせて十分に提供できる環境だとは必ずしも言えない。
悪性腫瘍に認知症や重症慢性疾患を併発している患者、AYA世代、「おひとり様」、また緩和ケアを必要とする非がん患者への対応などが必須となっている。経済事情から治療方法や療養場所の選択にお金と命を天秤にかける場面も少なくない。地域の入院機関である緩和ケア病棟もおよそ2ヶ月以内という入院期間が求められ、必ずしも安住の地とならないケースもある。
患者さん、ご家族がどの場所でも安心して過せるように、病院側と在宅側がよりよい連携を取り、本当の意味で「切れ目のない」かつ質の高い緩和ケアを提供する体制が求められている。
誰もが住み慣れた地域で必要な緩和ケアを受けられるように、お互いの立場や強みを今一度十分理解した上で、地域の緩和ケアセイフティネットの構築について議論したい。
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シンポジウム21:在宅診療における2018年版の手引きに基いた鎮静の実際と問題点
- 「がん患者の治療抵抗性の苦痛と鎮静に関する基本的な考え方の手引き」は2018年に改訂された。手引きでは、鎮静は点滴静脈注射や持続皮下注射を中心に行われ、間欠的鎮静と調節型鎮静と持続的深い鎮静に分類された。しかし、在宅診療においての鎮静ではエビデンスや推奨は少なく、病院で行われる鎮静とは異なり、坐薬を主に使用する施設もあれば、病院と同じように持続皮下注射を工夫して使用している施設もある。また、在宅診療では病院のように医療者が頻回に患者の状態を評価することは難しく、限られた医療者で意思確認と治療決定を行わなければならない。そして、臨時の追加投与は家族が判断し、施行してもらうことを指導する必要もある。
本シンポジウムでは、各在宅診療施設における苦痛緩和のための鎮静の現状と課題、病院と在宅との違い、在宅診療ならでは持続的鎮静開始の難しさと工夫、留意点や大切にしていることなどを共有できればと考えている。
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シンポジウム22:心不全、早期からの緩和ケア
- 循環器医にとって、緩和ケアをどのタイミングで意識すべきか、早期から緩和ケアといっても緩和ケアの専門医や緩和ケアチームにいつ相談依頼すべきか分からないといったことも少なくないと思います。一方で緩和ケアに従事する医療者にとっても循環器医にどのようにアプローチすべきか、がん緩和ケアはよく知っていても心不全の緩和ケアをどのようにすればよいか悩んでおられる方も多いのではないでしょうか。
本企画では、心不全緩和ケア領域でご活躍されている循環器医の先生方に、循環器医にとってのニーズは何なのか、そもそも心不全とは何かといった「心不全のいろは」、超急性期から在宅療養に至るまで実際どのように対応されているのか、そして在宅心不全患者へのアプローチはどうしたらよいか、などについてお話しいただき、心不全患者に対する早期からの緩和ケアはどうするべきかを考えてみたいと思います。
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シンポジウム23:救急・ICUにおける緩和ケアとは何か
- 最近、予想以上の早さで緩和ケアの世界が変化していると感じます。緩和ケア診療加算に悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群のみならず末期心不全が加わったことは、すでに多くの方々がご存知の通りです。そして、緩和ケアの適応はWHOの定義にもあるように生命を脅かす病、つまり救急・ICUの現場にも確実に広まってきています。
このシンポジウムでは、救急・ICUにおける緩和ケア領域に各地域の急先鋒として、また日本のオピニオンリーダーとしてご活躍中の3名の方々にご講演をお願いしています。
救急・ICUの現場における緩和ケアの実情・その中で明らかになってきた課題・課題解決にむけた方策と挑戦・これから救急・ICUの現場に緩和ケアを広めようと考えている人へのアドバイス等々、これらの討論を通して救急・ICUにおける緩和ケアとは何か?そして、何が求められているのか?分かりやすく解説いただきます。
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シンポジウム24:非がんの地域緩和ケアの実際
- 2014年にWHPCAとWHOが世界の緩和ケアニーズの実態やあり方に対する報告書を作成し、先進国における死因は、循環器疾患やがんであり、症状の進行に伴い、大部分の患者は、痛み、倦怠感、抑うつ、呼吸困難などに苦痛を感じているとされています。
また、終末期のCOPDや腎不全、多発性硬化症や筋萎縮性側索硬化症などの神経疾患、終末期の認知症などの患者に対しても、緩和ケアが有効な介入となることも報告しています。
今回のシンポジウムでは、地域の中でどのように非がん患者に緩和ケアを提供していくかについて話し合い、私たちが日常の臨床で感じている困難な事項を共有し、今後の緩和ケアに生かすための討論を行いたいと思います。
当日は、三浦から慢性腎不全の分野から、荻野先生から神経難病の分野から、松田先生から慢性呼吸不全の緩和ケアの実際を伺い、浜野先生からは、非がん疾患の在宅緩和ケアの実態についてお話を伺い、今後の我が国における「非がんの地域緩和ケア」について討論したいと考えております。
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シンポジウム25:リソースの少ない環境での緩和ケアナース教育:現場の知恵に学ぶ
- 緩和ケアは2007年の第1期がん対策基本計画以来、がん患者の療養生活の質の向上のための重要な課題として掲げられ、がんの拠点病院を中心に多くの緩和ケア認定看護師やがん看護専門看護師が看護師の緩和ケア教育において活躍している。一方で、患者家族の苦痛を軽減し、その人らしく生きることを支援する緩和ケアは今や特別な医療ではなく、がんの拠点病院以外の医療現場でも広く求められているが、緩和ケアの知識を持った看護師など緩和ケア教育のリソースが乏しく、教育に苦慮している現場も少なからずあると思われる。
本シンポジウムでは、緩和ケアの専門性の高い現場で緩和ケアナース教育を実践しているお二人の演者の取り組みをうかがい、そこで語られる教育の工夫や失敗からの学びなどを通して、リソースの少ない環境で活かせる緩和ケアナース教育における知恵を学びたい。
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シンポジウム26:Integrated Careの現時点
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シンポジウム27:日本緩和医療学会学術大会の意義を問う-激変する時代に我々が集う意味-
- 日本緩和医療学会が活動をはじめて四半世紀。この間に本邦の医療を取り巻く環境は国内外の社会構造とともに大きく変化した。そして緩和ケアも、学術大会開催とともに少しずつ普及し、その規模も年々大きくなっている。
多くの緩和ケアに関わる医療者が、わずか2日間ではあるものの1つの会場に集まり、発表とディスカッション行ってきた学術大会。私自身、学ぶだけでなく、何か感じることを求めてこれまで参加してきた。しかし2020年以降、新型コロナウイルス感染症により従来の対面集合型の学術大会開催が困難となり、オンラインを活用したハイブリッド型の学術大会となっている。これからもこの潮流が続く中で、それでも我々がここに集う意味は何だろうか?
本講演では、歴代大会長と次年度大会長の3人のシンポジストを迎え、学術大会の創成期、発展期と振り返り、学術的・社会的意義の総括と課題、そして今後のあり方について、活発な議論を行いたい。
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シンポジウム28:「お看取り」の教育を考える
- お看取り(死亡確認)は、臨床に携わるほぼ全ての医療従事者が経験する終末期ケアの1つである。しかし、卒前・卒後に十分教育されているテーマではない。終末期ケアを臨床教育にどう実装していくかは、高齢多死社会を迎えた日本における喫緊の課題である。
本セッションではまず、終末期ケアに携わる研修医が置かれている現状として、研修医が終末期ケアに感じている困難さ(岡本医師)や、終末期ケアへの前向きさに関連する因子(川島医師)について考察する。次に、お看取りのシミュレーション教育に積極的に携わってきた施設の取り組みを報告する(大屋医師)。そして、今後の教育プログラム開発や評価に関わるテーマとして、お看取りに関わる困難感尺度の開発(平塚医師)、お看取りの場面で医師に求められる能力や振る舞いについて(結束医師)、最新の研究成果を報告する。最後にこれらの知見から、お看取り教育の今後を展望する(釆野医師)。
委員会企画
委員会企画1:専門的緩和ケアの質の評価 |
(専門的・横断的緩和ケア推進委員会) |
委員会企画2:「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版」を身近で活かす |
(ガイドライン統括委員会) |
委員会企画3:Considering Cultural Context on Death, Dying, and Bereavement: Things palliative care clinicians should know about caring for Taiwanese, Korean, and Japanese |
(国際交流委員会) |
委員会企画4:感染と医療倫理 |
(安全・感染委員会) |
一般演題
Best of JSPM 2021 |
O_1-3-3 :医療ビッグデータを活用したがん患者の死亡時のオピオイド使用状況の分析 |
O_1-3-4 :がん疼痛に対するオピオイド選択のためのバイオマーカーを用いたランダム化比較試験(Relief Study) |
O_2-3-1 :終末期がん患者に対する至適な腹腔穿刺排液量の探索 |
O_2-15-1:皮膚病変を有する終末期乳癌患者の症状と予後 多施設前向き観察研究(EASED study) |
O_3-18-1:一般病棟での終末期の話し合い(End-of-life discussion)の実態と終末期がん患者のQOLや
遺族の精神健康に及ぼす影響に関する研究 |
O_3-15-1:持続的深い鎮静の適応を評価する客観的指標の開発に関する研究 |
O_4-4-1 :がん専門相談員の看護師と医療ソーシャルワーカーにおける医師との協働的実践と関連要因 |
O_4-13-1:がん患者を親にもつ子どもへの小・中学校担任教員のかかわり |
O_5-6-1 :認知症患者の遺族の死別後のうつ・複雑性悲嘆と関連要因 |
O_5-1-2 :在宅緩和ケアを受ける終末期がん患者の死亡前QOL(=QOD)に影響を与える因子の同定 |
O_6-11-1:Richmond Agitation-Sedation Scale (RASS) は苦痛の評価尺度として適切か?
-苦痛緩和のための鎮静を受けるがん患者におけるRASSと苦痛の強さとの関連性- |
O_6-7-1 :筋萎縮性側索硬化症患者の身体的苦痛に対する緩和ケアチームによる介入の効果 |
口演発表、ポスター発表 |
発表演題番号の確認は「こちら」をご確認ください。 |
企業協賛セミナー
- 企業協賛セミナーの詳細についてはこちらからご確認ください。